角質層の古くなった細胞は下から新しい細胞ができるごとに、アカとなりはがれ落ちる運命にあります。
このアカは水虫の人の足から職場や家庭内の畳や床、カーペットそして公衆浴場の床やプールサイドなど撒き散らされます。
病院の体重計やスリッパ、居酒屋の畳やサンダルなど裸足になるところは、どこも油断できません。
とくにスリッパや風呂場の足拭きマットからは高い確率で白癬菌が見つかります。この菌はアカの中では長期にわたって生き延びるので、水虫の感染源となりやすいのです。
白癬菌は風邪のウイルスや細菌と違い空気感染することはありません。仮にアカを吸い込んだり水虫の人の足に触ったとしてもうつることはありません。
では、どのようにして感染するのでしょうか。
このアカを水虫ではない人が踏むと足につきます。その時、風呂上りなどで足が湿っているとさらに付きやすくなります。
しかし、そのアカも足が乾燥すると皮膚から離れて落ちていきますので、水虫にはなりません。ところが、足が湿った状態のまま靴下を履いたりすることで、白癬菌が足に付いたまま長時間過ごすと水虫に感染するのです。
特に日本では家の中で靴を履いている人は少なく、たいてい素足で生活をしています。そのため水虫の人が同居している場合、家の中で感染する機会も多くなります。
白癬菌の感染力は決して強いとはいえません。湿度100パーセントの環境下では皮膚についた白癬菌が角質層に入りこむまでに24時間以上かかると言われています。
このことは水虫を防止するということを考えるうえで、非常に重要な意味を持ちます。
たとえ白癬菌が足についても、1日1回とくに足の指と指の間、指の付け根の部分をきれいに洗ってタオルで拭き取ってさえいれば水虫はかからないということになります。
ただしアカすりや軽石などでゴシゴシこするのはやめてください。
傷のついた角質層へ白癬菌が侵入するのに、12時間しかかからないというデータがありますので、短時間で感染してしまうことになりかねません。
さらに家族の中に水虫患者がいる場合、自分が治療をしてもアカを取り除かないかぎり再感染する可能性は高くなります。
床や畳、カーペットをまめに掃除したり、家族全員で治療をするなど身の回りから菌を排除する必要があります。さらに寝る前には足をタオルで拭くなど日頃から感染を防ぐ努力が必要です。
爪水虫の多くは足の水虫をきちんと治さなかったために、足から爪へ白癬菌が移り住んだものです。
やっかいなことに一度爪の中に白癬菌が入り込むと、爪が白癬菌の貯蔵庫となり菌を撒き散らすため、足の水虫も治らなくなります。
つまり爪の水虫を治療しないかぎり、爪の水虫と足の水虫による白癬菌のキャッチボールは延々と続いていきます。